日常
掲載日時:2026年10月30日
園長ブログ―10月30日-
掲載日時:2026年10月30日
園長ブログ―10月30日-
ことばになる前の気持ちに寄り添う〜0・1歳児の噛みつき・引っ掻きについて〜
大切なお子さまに、噛まれた跡や引っ掻き傷があったら、心配になったり、悲しくなったりするのは当然のことです。
また、自分の子がお友達を傷つけたと知り、不安になる保護者の方もいらっしゃると思います。
今日は、0・1歳頃の子どもたちに見られる噛みつきや引っ掻きについて、お伝えしたいと思います。
この時期の子どもたちは、お友達への関心や「自分でやりたい」という気持ちが大きく育っています。
一方で、自分の思いを言葉で伝えたり、とっさの行動を止めたりする力は、まだ発達の途中です。
「それ、使いたい」
「近くに来て、びっくりした」
「いやだった」
「こっちを見てほしい」
そんな気持ちをうまく伝えられず、噛む、引っ掻く、押すという行動につながることがあります。
眠さや疲れ、歯が生える時期のむずがゆさなどが関係することもあり、理由は一つではありません。
例えば、散歩車の中で、お友達の手が急に目の前に伸びてきたとき。驚きや戸惑いを言葉にするより先に、噛みつくという行動が出ることもあります。
こうした姿だけで、「乱暴な子」「育て方が悪い」と決めつけることはできません。
今、気持ちの伝え方や、人との関わり方を学んでいる途中なのです。
言葉でやり取りすることは、相手の声を聞き、意味を受け取り、自分の思いを言葉にする、とても複雑な営みです。
子どもたちは毎日の関わりの中で、その力を少しずつ育てています。
同時に、気持ちを落ち着かせたり、行動を止めたりする力も育っていきます。
大人に気持ちを受け止めてもらい、「かして」「いやだよ」といった伝え方を繰り返し経験することで、行動以外の方法で思いを伝えられる場面が増えていきます。
今、噛んだり引っ掻いたりする姿があるからといって、その行動がずっと続くということではありません。
一人ひとりの育ちに合わせた援助を重ねながら、変化を支えていきます。
園では、子ども同士の距離や表情、手の動き、眠さや疲れなどにも目を向け、気持ちが高まる前にそばに入ることを大切にしています。
遊ぶ場所や玩具の数、散歩車での立ち位置など、環境も見直しながら予防に取り組みます。
それでも、とっさの動きを止めきれず、けがにつながってしまうことがあります。
その際は、まず傷ついたお子さまの手当てを行い、痛かった気持ち、不安だった気持ちを受け止めます。
そして、噛んだり引っ掻いたりした子にも、気持ちを受け止めながら、「噛むと痛いよ」「手は止めようね」と短く伝え、別の伝え方を知らせます。
保護者の方には状況と対応を丁寧にお伝えし、職員間で経緯を振り返り、次の予防につなげます。
「成長過程によくあること」という理解を、けがを仕方のないこととして済ませる理由にはしません。
傷ついた子も、うまく気持ちを伝えられなかった子も、どちらも大切な存在です。
ことばになる前の気持ちに耳を傾けながら、子どもたちが安心して人と関われるよう、一日一日の育ちを支えていきたいと思います。